その笑顔に。その仕草に。その全てに。
「……好きになっちまったんだから」
そう言って、澪をもっと強く抱き締めた
。
はは。これじゃミイラ取りがミイラにな
ったのと同じだ。
憎くてたまらなかったのに、どうして好
きになんて……。
「澪が好きだって気付いても、認めたく
なかった。それでも復讐心は消えなかっ
た……」
「燐ちゃん……」
「恐がらせてごめんな……もう、しない
から。絶対に」
思い知ったんだ。
澪をズタズタに傷付けただけ、俺も傷付
くって事に。意味が無いって事に。
「恋ってこえーな……」
自分の意思と関係なしに、本能で惚れる
んだから。
「ごめんなさい……燐ちゃん」