「同情かよ」
「同情なんかじゃないもん……」
震えてるくせに。
本当は怖いんだろ?殴られるのが怖いか
ら、そんなに震えてるんじゃねーの?
「本当に殴るぞ?」
「き、気の済むまでどうぞ……!」
そう言った澪に、そっと近付く。澪が息
を呑んだのがわかった。
「んじゃあ、遠慮なく───……」
なんて。
「……出来ねえよ、バカ」
俺は一度振り上げた右手を、そのまま澪
の背中に回して、俺の方へと抱き寄せた
。
ふわり、鼻を掠めた澪の香りがあまりに
優しくて、泣きたくなる。
「……へ。り、燐ちゃん?」
「お前を殴るとか……出来るわけがない
。俺はだって……もう…」
いつの間にか。