「父さんは……、澪の母さんと浮気した
よ。それからだよ、俺の家庭が壊れたの
は」
二人がよそよそしくなって。
母さんは誰も居ない所で、声を押し殺し
ながら泣くようになった。
泣くだけならまだいい。
だけど、母さんは……。
「母さんは自殺を図った」
澪、お前はどんな顔をしているんだろう
か。
母さんの手首から流れ出る赤と、それが
蔓延した湯船は、今でも俺の脳裏にこび
りついて、消えてくれない。
俺は、二人が大好きだった。だからこそ
。
「お前の母親が……お前の家庭が、許せ
なかった……!」
いつか復讐してやろうと思った。
俺の家庭をぐちゃぐちゃに壊したお前ら
の家庭もぐちゃぐちゃにしてやろうと思
った。
ただの腹いせだと思うんだったらそれで
いい。