そのまま、ぐい、と燐ちゃんの胸ぐらを
掴み上げた。
「……テメェ。どういうつもりだ」
「ケホッ…。さすがヤンキーっていうの
は伊達じゃないね」
「俺はそんなこと言ってるんじゃねぇ!
」
今にも殴りかかりそうな勢いで、そう言
う向坂くん。
そんな向坂くんを前にしても、燐ちゃん
は余裕そうだった。
「澪が傷つけられたのが、そんなに嫌だ
った?」
燐ちゃんがそう言うと、向坂くんは何を
思ったのか、胸ぐらを掴み上げていた手
を緩めて。
「……誤魔化すなよ」
と言った。
「お前、ほんとに澪を傷付けたかったん
じゃ、無かったんだろ」
「何を───……」