ていうか嬉しそうにし過ぎだから、とち
ょっと澪を睨むも、全く気づかない。
天然なのは可愛いけど、ちょっと厄介だ
、ほんとに。
やがて、ソイツが入ってきた。
「燐ちゃんお帰り!」
「ああ、ただいま、澪」
そういってから、ソイツは俺に気付いて
俺にもあの完璧なまでに精巧な作り笑顔
を浮かべた。
「向坂くんだよね。いらっしゃい」
「……どーも」
あの作り笑顔に何人騙されてきたんだろ
う。
それが精巧で緻密に練り上げられたモノ
であるほど、その裏に隠された黒さは計
り知れないんだよ、と。
豊が珍しく真面目な顔で言ってたっけ。
「向坂くん!ケーキ出来たよーっ」
そんなことを悶々と考えていると、キッ
チンから澪に呼ばれた。
「今行くよ」