向坂くんの低い声に、ビクッと震える。
次の瞬間、私はまた、強く強く、向坂く
んに抱き締められていた。
「そんなわけないだろ……っ！？」
「っ、」
どうしよう。期待してしまう。
「俺は本気でお前が好きなんだよ！」
向坂くんも、私と同じ想いなんじゃない
か、って───……。
「男慣れとか、そんなわけ、ないだろ。
今度はちゃんとした恋人になりたいんだ
よ……！」
「ほんと、に…？」
「ああ。…お前は、俺が嫌い？」
ぷるぷると、向坂くんの腕のなかで首を
横に振ると、優しい声が振ってきた。
「ちゃんと、言って」
「……っ！」
カアッと顔が熱くなる。
意地悪だ、すごく。今ので絶対に伝わっ
たに決まってるのに、言わせようとする
なんて。
