気が付けばそれを聞かない内に、俺は教
室に押し入って、澪の手を掴んでいた。



澪がなんて答えるのか、聞くのが怖かっ
た。



「向坂くん!?」



久しぶりに紡がれた自分の声が、こんな
にも嬉しい。



やっぱり、無理だ。


澪を諦めるなんて───無理だ。