女の子から向坂くんの胸へと飛び込んだ
のは一目瞭然だった。
だけど。
向坂くんが、腕を動かして───……
「っ、」
「あ、ちょっと澪!?」
その先の向坂くんの行動を見たくなくて
、その場から逃げ出した。
あの腕で、あの子をぎゅっと抱き締め返
してたりなんかしたらと思うと、いても
たってもいられなくて。
嫌だ、とはっきり思った。
そんなの耐えられないよ……っ
「ちょっと澪ってば!」
めちゃくちゃに走り回って、学校から飛
び出した所で、かなえちゃんに腕を掴ま
れた。
「もう!いきなり走り出さないでよ!」
「ごめんね……」
でも、辛かった……。