「ねえ澪、本当に何があったのよ」
アイスティーに入れたシロップをかき混
ぜるように、くるくるとストローを回し
ながら、そう尋ねてきたかなえちゃん。
今日は、かなえちゃんとカフェに来てい
た。
「んー?何が?」
文化祭が終わってから2週間。かなえち
ゃんは毎日同じ質問をしてくる。
何が、なんて。
本当はわかってるけど。はぐらかしてる
。その話題には触れてほしくない。
「だから……向坂くんと何があったのっ
て聞いてんの」
……何もない、って言ったら、怒るかな
。
私はかなえちゃんの顔を見ることができ
なくて、目の前に置かれたケーキを頬張
った。
「あれからずっと、向坂くんと喋ってな
いじゃん」
「……うん」