ちょっと冗談っぽく言ってみたけど、本
当の本音でもあった。
今でも、怖くてたまらない。
少し、指先が震えているんだ―――
「……あ」
「?どうかした?澪」
下駄箱まで来たのに、急に立ち止まった
私を、かなえちゃんが不思議そうに振り
返った。
「携帯……忘れてきた」
そういえばさっき、鞄から取り出して、
机の中に入れちゃった気がする―――。
「もー。澪ってばドジなんだから。待っ
ててあげるから、取ってきな!」
「うん……ごめんね、かなえちゃん!」
かなえちゃんに一言謝ってから、慌てて
教室に駆け戻る。
―――ガラッ……!
「……っ」
教室のドアを思い切り開けたのはいいけ
ど思わずそこで立ち止まる。