「ん……。やっと素直になることが、で
きたんだ」
そう嬉しそうに微笑むかなえちゃんは、
やっぱり恋する女の子って感じだった。
「澪は……?」
「へ?」
「澪は、向坂くんと何か進展、無かった
の?」
きっとかなえちゃんは、何気なく訊いた
だけなんだろうけど───……。
私は昨日言われた事を思い出して、カア
ッと赤くなった。
───『お前、今日から俺の女な』
あれからずーっとふわふわ、宙に浮いた
みたいな気分。
どうして断れなかったんだろう、って、
ずっと考えてた。
だけど答えは……出なかったんだ。
「あ、の……ね。つ、付き合う事に…」
「は?」
「向坂くんと付き合う事に……なっちゃ
った」