───ドサッ
「きゃっ……」
乱暴に下ろされたのは、夏休み前にも一
度だけ来た、あの空き教室だった。
乱雑に並べてある机の内の一個に、座ら
されて。
向坂くんは、私を逃がすまいとするよう
に、私を囲うようにしてその机に両手を
ついた。
「あ、あの……」
「……ほんと、ウザい」
突然紡がれたのは、そんな言葉で。
私を見つめる向坂くんの瞳が、切な気に
揺れていた。
「お前に近付く男、全部抹消したい」
「え!?あ、あの……」
「お前、無防備すぎる。男嫌いのくせに
、告白なんてされてんな。……ほんと、
焦るんだよ」
向坂くんが何を言いたいのか、わからな
い。
告白なんてされてんなって言われても、
されたくてされてるんじゃないもん。