向坂君と初めて会話したのは、5月の初
めの頃のことだった。
「じゃあ、席替えするぞー」
そんな担任の先生の声と共に、席替えが
決定されたあの日。
私はくじ運のなさを呪ったんだ―――。
「席替えはくじ引きで行うぞー。文句は
いうなよー」
先生が用意したお手製のくじ引き――と
いっても、小さく折り畳んだ紙に、番号
が書いてあるだけだけど。
それを一列にならんで、順番に引いてい
く。
「澪ーっ、どうだったー?」
私がくじを引き終わると、もう先に終わ
っていたかなえちゃんが、駆け寄ってき
た。
「えっと―――12番」
「あちゃー……結構離れたねー」