向坂くんの微笑みに見とれていたら、不
意に耳に届いたチャイムに、ハッと頭が
覚醒する。
「じゅ、授業!」
もしかして今のが始まりのチャイム!?
───なんて思った私に聞こえてきたの
は、信じがたい言葉だった。
「もう焦っても遅いし。ていうか多分、
今から昼休みだぞ」
フェンスに体重を凭れたまんま、ふあ、
と欠伸しながら呑気にそう言った向坂く
ん。
え……昼休み、って───
「えぇ!?」
じゃあ、じゃあ……!
朝から四時間、ずーっと寝てたの!?私
!?
嘘でしょーーっ!?
「どどど、どうして起こしてくれなかっ
たんですか!」
「えー、だって気持ちよさげに寝てたし
さ」