だって……だってだって!



今、私、絶対に向坂くんの膝の上で寝て
た。ひ、膝枕してもらっちゃってたよ!



学校一のヤンキーに膝枕してもらうって
、どんだけ頭(ず)が高いんだよって話だ
よね!



どうしよう……、向坂くん、怒ったかな




いきなり逃げ出して泣き出して、挙げ句
言いたいことだけ言って、寝ちゃうなん
て───……。



少しびくびくしながら向坂くんを見上げ
たら───そんな不安、吹き飛んだ。



だって……。


だって向坂くん、見たこともないくらい
優しくて、甘い……見てるこっちが溶け
ちゃいそうな微笑み浮かべてるんだもん




「さ、きさか……くん…?」


「ん?どうした」



なんでそんな風に微笑んでるの?とは訊
けず。



ただ、甘酸っぱい何かが、胸を満たして
いくのを感じていた。



……───キーンコーン……