ふと目を覚ますと、目に入ったのは、お
ぼろ気な金色。
まだ霞む視界にちらつくそれが、太陽の
光に透けて、あまりに美しくて、無意識
に手を伸ばすと───……
「寝惚けてんな」
そんな声と共に、伸ばしかけた手を何か
に阻まれた。
え……?
だんだんと意識がはっきりして、私の手
が誰かに掴まれている事を知り───そ
して。
「よお、泣き虫兎。目覚めはどうだ?」
その人物が向坂くんだということに気付
く。視界にちらついた金色は、彼のもの
だったらしい。
───というか。
「わぁっ!?」
私はすっとんきょうな声をあげて、思わ
ず飛び退いた。