涙に震えながら拙い言葉で一生懸命に話
してくれた泣き虫兎を、守りたいと強く
思った。



いや、守って見せる。



「───……おい、泣き虫兎……」



そう小さく呼び掛けるも、返答はなく。



未だ俺の腕に抱かれている泣き虫兎を見
れば、すやすやと眠っていた。



……無防備。



「……お前、ズルい」



俺の気持ち、乱すだけ乱して。鷲掴みに
して。



俺、きっと……。あの日から……。



お前と約束を交わした、あの日から─…
…。



「……好きだ」



俺は掠れた声でそう呟いて、泣き虫兎を
ぎゅう、と抱き締めた。



……誰にも、渡さない。