かなえちゃんの"もったいない"の意味が
わからなくて、キョトンと首を傾げると
、かなえちゃんは苦笑いした。
「澪、せーっかくこんなに可愛いのに、
そんなだから彼氏も出来ないのよ?」
「い、要らないもん……」
彼氏なんて……要らないもん。
だって男の人は、怖くて怖くて仕方がな
いのに、どうして彼氏を望むことが出来
るの。
私が心を許せる男の人は、今も昔も、一
人だけ―――……。
「澪だって知ってるんでしょ?向坂空〔
さきさかそら〕が、校内一のモテ男だっ
て事は」
「う……うん…」
向坂君っていうのは、私の隣の席の男の
子。
入学してまだ少ししか経ってないのに、
もう五人に告白されたって噂だ。
といっても、向坂君を好きな女の子は、
陰ながら好きで居ることが多い。