あたしは戸城の顔が見れず、振り返ることが出来なかった…


『相沢どーかした?』

『えっあー…えっと…』

あたしは、何を言って良いのか困り、言葉が詰まって俯く…


その時、自分の手に握られたスーパーの袋が目に入った

これ渡して帰ろう!

さすがに2人っきりなんて…心臓がもつわけないし…




『あのっこれお見舞いの食べ物。良かったら食べてね…』

そう言って戸城に差し出すが、戸城は受け取ろうとしない

えっ…拒否!?


まさかの出来事にどうすることも出来ず、差し出した袋を静かに下ろした…


『あっ…いらないよね…?ごめんね…いきなり来ちゃって』

あたしは無理して笑顔を作った…そうしないと、泣きそうだったから…


早くこの場から逃げたい…


『じゃっじゃあね』

お大事にという言葉は声に出来ず、あたしは階段に向かって歩き出した


『相沢っ!!』


右手が後ろに引っ張られる…振り返ると戸城がスーパーの袋を掴んでいた


『あがっていきなよ。汚いけどさ…』


えっ………?


あたしの返事を待たずに、戸城は部屋に入っていった