でもいつまで待っても大輔は現れなかった

通り過ぎる人たちは幸せそうに、あたしの横を通り過ぎていく――…

いつのまにか日は沈んでいて、街頭の光が灯った



あたしはそれでも、その場を動かず大輔を待ってた…


プルルル…



握りしめていた携帯が鳴りだし、あたしは素早くペアキーを押した


大輔だと信じてー…


『もし…もし』


『鈴夏!!お前どこいんだよっ!?大輔がっ』


『達生!?何慌ててんの?』



『大輔が車にはねられて…』


はっ…?
大輔が…何で…?



『それで今亡くなったって…おばさんから…』


するりとあたしの手から携帯が落ちた




大輔が…死んだ…



恋人の話し声も、車のクラクションも今のあたしには何も聞こえなかった

達生の言葉がずっと頭を駆け巡っていた










『鈴夏―!!』


自分の名前に顔を上げると、目の前には笑顔で手を振ってる大輔の姿が…あたしは思わず微笑み返した





でもそれはただの幻で一瞬にして消えてしまった――…



代わりに目の前に現れたのは、達生だった…