『あのっ……』


朝、いつものように学校に向かっていると、後ろから声をかけられた

周りには誰もいなかったので、あたしは振り返る



『えっ………』


振り向いた先にいたのは、あの日駅で見たセーラー服の女


あみ……さん……?

驚いたまま何も言わないあたしに、あみさんが話し出す

『その制服って…紫桐高校よね?』


『はい……』


『戸城棗って…知ってますか?』


――――ドクンッ


『……戸城に何の用ですか?』


強気で言ってる言葉なのに、心の底では不安でしょうがない

戸城と、より戻す気じゃないよね……

そんなあたしの思いとは裏腹に、あみさんの表情が明るくなった


『あなた棗と知り合いなの!?お願いこれ渡しといてっ!!』

『えっ……』

無理矢理手に紙を握らされて、あみさんは去って行った……

残されたあたしは、手に握られた紙を握りしめることも捨てることもできず、ただ見つめていた



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