体育館から飛び出したあたしは、教室に戻らず焼却炉の前にいた


瞳から溢れる涙の理由は自分でもよく分からない……

ただ、戸城が目の前にいるのに、好きと言えない現状が切なかった





『相沢…?』



声のした方を向くと、そこにはゴミ箱を持った川瀬が立っていた


『つか何で泣いてんだよ!?…棗となんかあったのか?』

そう言って川瀬はあたしの隣に座った

『戸城が…あたしの好きな人は川瀬かって…』

その言葉に、川瀬は目を見開いた

『はぁ!?意味がわからねぇー!!』

あたしも分かんないよ…

『てか、どーいう流れでそんな話になったんだよ?』


『えっと…戸城が達生のことを、あたしの好きな人と勘違いして…』

達生を好きとか、ありえないのに…



しかし、川瀬は首を傾げて

『達生って……誰?』

と怪訝そうに聞いた

あぁ…川瀬は会ってなかったっけ…


『あたしとナッチの中学の時の友達』


『ふーん…。棗そいつに嫉妬したんぢゃねぇーの?』


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