昼休みの終わりのチャイムが鳴り、川瀬が席を立つ

『じゃあ放課後迎えに来るな』

『うんっ』


いつもそう言って、川瀬は自分の教室に、ナッチは自分の席に戻る


しかし、ナッチは自分の席に戻っていったけど、川瀬は教室を出る前にこっちを振り返り、あたしを呼んだ





『何?』


『お前さぁーホントに棗が好きなんだよな?』

その話か…


『そうだけど…』

あたしは、周りの人に聞こえないよう小さな声で答えた


『こんなこと言いたくねぇーんだけど、棗は恋愛に関してはかなり歪んでるから大変だぞ』

川瀬は、少し寂しそうな瞳で言う。けど…


『それでも…あたしは戸城が好きだから、諦めないよ』


こんなに堂々と、戸城を好きと言ったのは初めてかもしれない


それでも、何も恥ずかしさはなかった。だってそれが、あたしの正直な気持ちだったから


『そっか…相沢ならなんかできそうな気がするわ!あいつを…救ってやってくれ』

そう言って、川瀬は自分の教室に戻っていった




この時は、川瀬の言葉の意味をあまり深く考えていなかった…