そのまま近付いてくる柏原さん。逃げなきゃ…って、頭では何度も繰り返してるのに、足に力が入らない…


そして、冷たいカッターの刃があたしの頬に触れた



『ねぇ…最後に1回チャンスをあげる。もう棗に関わらなければ、許してあげる。でも…』


頬に当てられたカッターの先が、喉元に向けられる


『もし棗に近付くなら、容赦しないわよ。さぁどっちを選ぶの』

その目は、とても冗談を言ってるような目ぢゃなくて…本気で戸城が好きなことが分かった



それでも、あたしは頷くことができなかった。避けることはもうしないって約束したから…あんな辛い思いはしたくない



あたしは、小さく口を開いた


『あたしは…戸城から離れない』