ガチャ
アパートに着き、鍵をまわしてドアを開け中に入った。
この部屋の玄関は狭く、おそらく後に続く男はオレがここにいる限り同時には入れない。
「すみません、…ちょっと待ってて下さい」
オレは急いで靴を脱いで、先に1人部屋に上がろうとした。
オレは25歳で、大学を卒業してから普通の会社に勤めている一般的な社会人。
アパートは学生時代のものよりも広いし、何しろ2部屋分ある。
今日1日だけあいつを泊めてやるにしても、広さはなんとかなるだろう。
後ろを振り向き、「どうぞ」とその人に声を掛けた。
男は恐る恐る玄関に足を踏み入れ、中に入ると、ぶしつけにキョロキョロと周りを見渡した。