はぁ…
声にならないため息がもれる。
「ねぇ、焼きそばなら作れるけど、どうする?」
冷蔵庫のドアの上から、顔だけちょこんと出してそいつは言った。
…ああもうだからさ!
「勝手にいじるなよ!お客なんだから、おとなしく向こうの部屋で座って待ってろ!!」
そう叫んで部屋の戸を指差す。
彼はじっとこちらを見てから、パタンと静かに冷蔵庫を閉じて肩をすくめて見せた。
「お客って…。はっきりさせときたいんだけど、俺の父さんになってくれるわけ」
オレは彼にイライラしていた。
こんなときだけど、こんなに他人に対して感情が高ぶるのは、今のオレには久しぶりで新鮮なことだった。
「…わかったよ、なるよ!」