その日から私には、初めての彼氏が出来た。

大野くんは、毎日私の教室まで迎えに来てくれる。

ベタだなぁって思うけど、すごく嬉しいんだ。

私にとって、今の幸せは全て、ここにある。

「先輩っっ!!」

「大野くん」

大野くんは、HRが終わってすぐ、私の教室に来た。

「どうしたの?そんなに急いで」

「っあの・・・はぁ、先輩にっ、名前で、呼んでっ、欲しくて」

「なっ、名前で!?」

「ふぅ・・・はい」

息も落ち着いた大野くんが言う。

「このままの呼び方じゃ、堅苦しいし」

「う、うん。確かに、そうだね」

「だから先輩は、“キョウ”って呼んでくださいよ?」

「キョウ、くん・・・?」

上目遣いで言う大・・・キョウくんに、同意せざるを得なかった。