私はいつも、空気のような存在だった。

クラスのみんなが集まって遊ぶときも。
“そういえば”って誰かが思い出してからじゃないと、気にかけてもらえなかった。

でも、その“誰か”が、私の憧れだった。

私、加藤蘭 カトウ ラン の、憧れの人。

宮崎 裕介 ミヤザキ ユウスケ。

すごく遠い存在で、私なんかが気安く想っていい相手じゃない。そう分かってる。
だけど、ダメなんだ。

想わずにはいられない。
そんな魅力が、彼にはある。

私には、そう思えた。