――パタン 小さな音をたてて閉まったドア。 「はぁ―……」 息を深く吐いて、ベットに勢いよく倒れこむ。 ……俺、さっき何をしようとしてた? 真子の手にキスをしたのは、おまじないのような安易なキス。 痛みを和らげようとしたキス。 でも、真子の瞳に引き寄せられるように顔を近づけたあれは…… 「何やってんだよ……俺」 あのまま俺は何をしようとしてた? 引き寄せられるまま、あの柔らかそうな唇に自分の唇を重ねようとした。 淡いピンク色でプルプルした唇。 食べてしまいたい、と思った……