「俺は頑張った」 「は……?」 「俺を褒めろ」 「……」 「いや、もう褒めたたえろ」 俺はあの夜、ずっと隣の小悪魔に誘惑され続けた。 いや、勝手に俺が俺の中の理性と闘っていただけだけど…… 「一応何があったか聞いてやろうか?」 「聞け……」 「聞けって……。お前はほんとに面白いヤツだよ」 あんまり興味のなさそうな明良に、あの日のホテルの話をした。 「それでさ、真子ってば隣でぐっすり寝ちまってさ」 「ふぅーん」 「途中さ、俺の名前を寝言で呼んだりして」 「へ、へぇ―……」