時は流れるように過ぎ去り、気付けば4月になっていた。




「高里先生ーっ、さよならー!」




先生に声をかけて帰路に着く。

塾にもすっかり馴染んで、今や『最初からいたみたい』と言われるほどに。


夜道を独り、自転車を漕ぐ。



心は学校生活へと飛んでいた。


女子ソフトテニス部に所属していた私。
通称女テニは、部員が多いことで有名だった。

それと同時に、部員は気の強い子が多いことでも有名で、いじめは日常茶飯事。


いじめの矛先がルーレット状に回り、次か次かと脅えてすごす日々。



その矛先がその時は私に向いていた。


毎年回ってきたいじめ。

だけど、その時のいじめはいつにもましてひどかった。



悪口を言われた。

仲間外れにされた。


原因は分からない。
原因なんてなかったのかもしれない。


その時は頼れる人も、味方も、何もなくて。




「今回はダメかもなぁ…。」