私は橋の上に立つと、下を流れる川を見下ろした。

夕方。暗い空。
ポツリと灯った街灯が切ない。


でも、これでいい。
この方が、この恋の終わり方らしい。



紙ヒコーキを目の辺りで構えると、涙が込み上げてきた。


この紙ヒコーキは手紙になっている。



私は涙を堪えて、雨降る夕闇の中、川に向かって紙ヒコーキを投げた。



紙ヒコーキ

雨に濡れながら雨雲を越え
波に揺られながら川を流れ


託された想いを連れて行け
手の届かない遠くへ


願わくば

あの人の元へと…



紙ヒコーキは風に吹かれながら、川へと落ち、やがて流れていった。


下唇を噛み締めて、空を見上げた。
頬に微かにかかる雨。

いつか、また…会えるだろうか。



私は和ちゃんの行方を知らない。

調べれば分かるだろうけど、それはしたくなかった。会うなら、また偶然がいい。


連絡先も知らないから、和ちゃんが異動になってしまったら…それで終わり。

ううん、きっともう、私が伊丹を訪れることはないから…もう、2度と会うことはないかもしれない。



だけど、それでも…いいと思える。