最後に一目見たいと、少し距離をおいてから振り返ると、そこにはもう、和ちゃんの姿はなかった。



それが、答えかと立ち止まって自嘲気味に笑った。

もう、会えない。
これが、終わりなんて。


なんて、呆気ないんだろう。



涙が零れて止まらなくなった。
好き、だった。

ううん、好き。



引っ越すにあたって心残りはないかと思い出してみたその日の夜。


1つだけ、あった。



和ちゃんに、私の想いを伝えてない。



和ちゃんは私の想いを間違いなく知っているけれど、それは自分の口で伝えたわけじゃない。

付き合えるだなんて思ってない。
むしろ、遠距離なんて無理だ。


けじめをつけることができるなら。



そう思った私は告白しようと心に決めた。

けれど、まだ一歩が、踏み出せずにいた。