「先生、なんで彼女と行かないの?」



そう単刀直入に言うと、隣にいた友達が驚いて言った。



「先生彼女いんの!?」



有り得ないと言いたげなその発言に、先生は振り返ることなく言った。



「いねーよ。」

「はっ…?」



だっているって…言ってたじゃん。



「だっているって…。」

「別れました。」



嘘…。

嬉しさ半分、罪悪感半分。
最近、こんなのばっかだ。



「いつ!?」

「ゴールデンウィーク辺りじゃない?」



わ、私が彼女がいるならと耐えてきた数ヶ月は…無意味だったの?



「うっそ! そんなこと全然言ってなかったのに…。」

「いや、知ってる奴は知ってるよ?」

「なんで教えてくれなかったのー! 教えてくれれば授業中あんな風に言ったりしなかったのに…。」



『彼女と観に行けば』なんて…まさに傷口に塩。

私、最低だ。


先生がフリーだって事実は嬉しくも思うけど、自分がしてしまったことに後悔していた。



「ごめん、先生…。」