だけど、そんなことに構っていられないほどに時は進んでいく。

そして私は今日も塾にいる。



「あ~、あの映画だろ?」



なんて授業中にも関わらずそんな話をしている、高里先生。



「え、先生1人で映画観に行くの?」

「うん。」



1人って…なんて寂しいんだろうか。

だけど、当の本人はそんなことは気にならないらしい。



「あー、でもあれは1人で観に行けねーや。さすがに無理。」



そう先生が言ったのは、当時公開中だった映画。

女の子向けと言うか、カップル向けと言うか、とにかく男1人で観に行くにはハードルの高い映画だった。


彼女と観に行けばいいじゃん。

嫉妬だったと思う。
私は気付けばそれを口に出していた。


そんな私に返ってきたのは「やだよ。」の一言。



なんで? 彼女がいるなら彼女と観に行けばいいじゃん。なんで嫌なの?


授業終了後、先生にそれをぶつけに行った。