高里先生が優しいなんて、
荒川先生に言われなくても知ってる。

私が優しくもない人に、惹かれるはずがない。


ううん、この世に優しくない人なんて、いない。



「それにモテるのよ~?」

「荒川先生…。」



そんな荒川先生に苦笑を洩らす高里先生。

何よ、デレちゃって。



「モテんの~? 本当に~?」



有り得ないという顔を作っておいた。

だって、先生がモテるなんて、嫌だ。




それから程なくして夏休みに入った。

相変わらずの日々。


そんな日々の中唯一、理社集中特訓という期間に入った。

塾で理社それぞれを1日3時間ずつ行うというもの。それは地獄であり天国だった。


だって、理科の担当は高里先生。
高里先生と、3時間も一緒にいれる。

それが授業でも構わなかった。