「嫌だよー、だって高里先生彼女いるじゃん!」



と笑い飛ばすと、安心したように笑う塾長。


本当は、すぐにでも飛び込みたかった。

当時中学3年生とはいえ、弱った心が弱いのは大人と同じ。


抱き締めて、もらいたかったし、抱き付きたかった。



その時の高里先生の表情は覚えていない。
確か、笑っていたような気がする。


誰にでもいいから抱きしめてもたいたくて、誰にでも抱きつきたくて。

でも本心では、その相手は高里先生がいいなんて思っていた。



隠しきれないところまできていた。


名前しか知らない相手を、
それも下の名前を知ったのすら最近の相手を

好きに、なりかけているなんて。



ケータイ小説を読んでても、先生? 年上すぎでしょ、第一禁断だし。有り得ない。って思ってた。

だから、その自分がまさかその状況になるとは夢にも思わなくて。



「あ!」



突然叫んだ私に、驚く先生たち。



「高里先生っ、CD!」



そう言うと、罰が悪そうに顔をしかめた先生。