担当の先生らしき人が教壇に立つ。

とりあえずここの学校は基本自由らしく入学式はカットしてあるらしい。

「じゃあ、自己紹介だけはするか」

そう言われた瞬間体が固まる。

自己紹介なんて無理だよ。

私どうしよう。

「じゃあ…、前の人から」

嘘っ!

私一番だった。

自分の名字を恨んだ。


「え、えっと…、あ、あああ、天野い、いちごです…。ひ、人見知りなのでみ、皆さんから話しかけてもらったら嬉しいです…」

声が裏返ったり震えたり変な自己紹介になったけれど何とか言えたみたいだ。


安心していたのもつかのま。


「相原 蒼空(あいはら そら)です。えーっと一年間皆よろしく」

ん?

聞いたことある声と聞いたことある名前。

まあ、あんまり気にしないでおいた。

名前が同じの人もいるって。

声が似てる人もいるって。


「良かったわー。どっかのチビみたいに変な自己紹介にならなくて。こうやって自由にやればうまくいくのにチビだから脳みそもちっこいんだなー」

うっ。

これは絶対に…絶対に…。

隣を恐る恐る見る。

「………げっ!!」

「げって。おう、朝の泣き虫チビ」

泣き虫までつけてきやがった、こいつ。


「何であんたがいるの!?」

私は小声で話す。

「何でって受かってるからここにいんだろ。ちょっとは状況把握しろよ」

「あ、あんたねぇ…!!」

「はい、そこ。うるさいぞ」

先生に注意されてしまった。

「先生ー。隣の女子がうるさいです」

「あ、あんたっ!!」

べーっと舌を出すあいつ。