その養護施設は、0歳から18歳までの孤児や障害を持った子供が暮らしていた。

それぞれに教室があり、基本的には小さい子から高校生までの男女が約15人ぐらいに分かれ、

保母さんが1人で1クラスといったかんじで総勢200人ぐらいの養護施設であった。

養護施設に来る子供達の理由は様々であるが、基本的に『親に捨てられた』

という事は皆一致していた。

養護施設を18歳ないし、15歳で出て行く。子供達に明るい未来などほとんどなく、

高校といっても、地域にもよるが、木工や機械の学校である。

無論大学への進学はは学費の面で厳しい為、大概の子供達には『夢』など夢のまた夢。

社会で生き残るには、すぐに働かなくてはやって行けないのだ。

当然、世間体や常識に乏しい彼らの多くは、社会の底辺で犯罪や体を売り生きる者も少なくはない。

テルはウダツのあがらない自分もここでは、一目置かれる、場所であった。


奈緒美『それにしても本当に子供達は元気ね〜』


ヒッキー『僕はもうへとへとですよ〜』


アイム『なんかいいな!友達がいっぱい居るってかんじじゃん!』


テル『皆が思ってるほどあいつらも楽じゃないぜ。』


ヨシコ『どうして?』


テル『ここじゃ、歳なんて関係なしに皆、必死に誰にも頼れずに生きてるんだ。』


『今日の敵は明日の友、昨日の友は今日の敵』

ってなかんじでな。

だから一瞬でも気を抜いたらここじゃ生きてけないんだ。』



奈緒美『そうかしら?みんな本当にいい笑顔よ!』


テル『だから、あいつら必死でみんなに好かれたいんだよ。つれて帰ってほしいのさ。里親だよ』


奈緒美『そうなんだ・・・』


堀江『テル、挨拶しなくていいのか?先生とかに?』


テル『ははは。覚えてなんかないよ!あいつらは!』


アイム『覚えてるさ!お前はインパクトあり過ぎなんだから!』


テル『あのな、先生は長くてもここじゃ1年持てばいい方なんだよ!』


アイム『ええ?何で?』


テル『子供が怖いんだよ。モンスターさ。』


アイム『・・・・モンスター。ゴクン。』


テル『無法地帯なんだよ。誰かが消えたって誰も気にしない。そう言う場所さ。』


ヒッキー『なんだか北斗の拳みたいですね。』


テル『そんなかんじかな!ハハハ!』


香織『笑えないだろ・・・・』


奈緒美『あれ?財布がない?』


テル『もうやられてやんの。』


奈緒美『くそー!あったまにきたぞ!』