香織『それはそうとアイム!お主、精霊が居ると言ったな』


アイム『ああ。グスン。じいちゃんがそう言ってた。俺は見た事ないけど。グスン』


香織『そうか、あれは精霊じゃないぞ。』


アイム『え?何でだよ!グスン』


香織『あれはお前の母親じゃ。』


アイム『えええええええ?お母さん?!』


香織『そうじゃ。今もそこにおるぞ。』

アイムはあたりを見回し、岩をペタペタと触り、


アイム『かーちゃん?お母さん?そこに居るの?』


すると湯の中からポコンと空気が湧いて出て来た。


テル『社長〜今いいとこでしょ〜』


堀江『は?屁なんかしてないぞ。』


香織『そこじゃ。』

香織は空気の湧き出た所を指差した。

テル『うわっ!』

しかし、誰にも空気しか見えなかった。

香織『アイムお母さんは悲しんでるぞ!』

アイム『何でだよ!悲しいのは俺だよ!俺は母親の顔も見た事ないのに!』

香織『アイム・・・お父さんをここに連れて来て。ごめんなさい。アイム。』


テル『声が変わった!』

堀江『どうやら香織ちゃんに憑依したみたいだな。』


アイム『なんでだよ母ちゃん!あいつは俺の事捨てたんだぜ!』


香織『お父さんを恨まないで、あなたがお父さんを救ってあげて。』


アイム『でも・・・』

香織『貴方にはいい仲間が沢山いるじゃない。お父さんは1人なのよ。』

アイム『どこにいるかだってわかんないんだよお母さん!』

香織『貴方ならきっと見つけられるわ!お父さんをよろしく頼むわよ!ここで待ってるわよ!』

アイム『待って!お母さん!親父は俺の事が嫌いなんだよー!』

香織『もういないよ。』

アイム『なんでだよ・・・』

ヒッキー『探そう!僕も手伝います!』

テル『俺も探すぜ!』

堀江『よかったじゃないかアイム!お母さんと話せて!』

アイム『はい。なんか吹っ切れました!親父を捜します!そんでここに連れてくるんだ』

アイムも男達も皆、その目に涙ではなくお互いの顔を焼き付け、友情を確認した。
堀江はこの出会いが偶然ではなくきっと何かに導かれたようなそんな気がしていた。
テルもヒッキーも同じように互いの不幸がとても他人事ではないように思っていた。


ヨシコ『香織。あなた憑依できたっけ?』

香織『できない。』

ヨシコ『ふ〜ん』

奈緒美『まぁいいんじゃない?男って単純よね〜』

香織『あいつらはもっと単細胞だけどね。』


テル『くっさ〜やっぱり屁こいただろ〜』

堀江『ばれた?』