「えっ、マジでいいの?」
「うん、来て?」
とある日の放課後。
アツ君のおうちのカフェでいつものようにお茶しながらそんな会話。
無事に退院したアツ君は何事もなかったように普通に生活している。
本当大事にならなかったことを神様に感謝したい。
「あ、ちょっと待って。電話だ……」
申し訳無さそうに話し始めたアツ君の手の中の携帯にはしっかり私とおそろいの猫のストラップが揺れている。
「…ごめんね」
「ううん、お友達?」
「あぁ、クラスの奴。くだんない用事だったんだけどさ」
そう言って、コーヒーに口をつけるアツ君にちょっと聞いてみた。
「アツ君、そのストラップ……笑われない?」
私の質問に、ストローを咥えたまま目線だけこっちを向く。
「ん~ん?別に笑われない。可愛いから欲しいっては言われるけどね♪」
「あ、あげちゃったりとか……」
「する訳ないじゃん。大丈夫♪」
クスクス笑ってる。そんな変なこと言ったかな……。
「で、さっきの話だけど………」
「あ、そうそう」
なんと。お兄ちゃんが珍しくサークルの飲み会で遅くなるから、番犬代わりにアツ君を呼べって(ひどいよね、そんなの言えないよ)言ってきたの。
なんかこの前の一件でアツ君のこと見直したみたい。
「お兄ちゃん、アツ君のこと褒めてたよ。なかなか見所があるって」
「マジ?やった♪」
「本当は言うなって言われてたんだけど、言っちゃった」
お兄ちゃんにはアツ君と仲良くして欲しいし。
「いや、これで彬良さんに認めて貰った事だし、ガンガン攻めるよ♪」
ニコッとウィンクまでくれちゃうから……急に恥ずかしくなって顔がほてる。やっぱりまだ慣れないなぁ。油断してると心臓がドキンとする~………