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「………と、真琴!」
「………お兄ちゃん」
「大丈夫だからしっかりしろ」
「……でも……アツ君が……」
アツ君が私の代わりに車にひかれちゃった。
ぶつかりそうな寸前で、突き飛ばされて道路に転がった。
「痛っ……た」
我に返ると周りの悲鳴が耳に入る。
「誰かひかれたぞ!おい、救急車!」
「高校生よ!N附属の制服!」
え?……高校生?N附属?ひかれ…た?
「お姉ちゃん大丈夫?」
心配して近付いて来たおばさんに手を借りて立ち上がる。
恐る恐る振り返ると………
「ア……ツ君」
人だかりから覗く見覚えがある柄のズボンとローファー。ピクリともしない……。
「ヤ…ダ……いやぁっ!アツ君!!」
人だかりをかき分けて駆け寄る。
道路に広がる赤い海。血の気が失せたアツ君がそこにいた。
「アツ君!アツ君!」
「ダメだよ。頭打ってるから動かしちゃ!」
周りの人に押さえられても動転した私はアツ君の元に行こうと必死だった。
そこに横たわるアツ君は何だかお人形みたいで……いつみたいに笑って欲しかった。
ピーポーピーポー…
その後誰かが呼んでくれた救急車で病院に運ばれた。
泣きながらお兄ちゃんにTELすると、私の支離滅裂な説明をなんとか理解してくれて凜さんとすぐに来てくれた。
そして今、医師に呼ばれて説明を聞いてる凜さんを待っている………。