パッとマコの表情が明るくなるのが分かった。納得したみたいね。
しかし、たかが数百円のものであんなにムキになっちゃって…ホント律義なんだから。
お互い会計を済ますと、『はい♪』と袋を交換。マコからの初めてのプレゼントは何だか照れくさい。
ビルを出てお茶する予定のカフェに向かってる途中も嬉しそうにずっと袋を握り締めてる。
「しまわないの?それ」
「うん☆いーの♪」
しかしさぁ…両手で袋握り締めてちゃ手も握れないじゃん。
「付けてあげよっか?」
「うん♪」
横断歩道を渡ってる最中だった。
袋からストラップを取り出す。それをつまんで嬉しそうに眺めてる。
「可愛いね♪」
この時俺がもっと周りを注意するべきだったんだ。
ドンっ!!
「きゃっ!」
前方からの歩行者にぶつかられた拍子に、手にしていたストラップが歩行者の波の中に放り出された。
「やだ!大変!!」
「おいこら、ダメだって…マコ!?」
マコは俺が止めるのも聞かないで、踵を返して人波みに逆らいながらのまれていく。ちっこいからすぐ見えなくなった。
「くそっ……どこだ?」
信号は点滅を始めたのに歩行者は一向に減らない。
どの辺りにいるかなんか全く見当が付かない。どうする……?
とにかくその場に止まって辺りを見渡した。人並みに不自然なところはないか……。
プップー!!
信号が赤になったのにせかせか渡ってる人々……鳴らされるクラクション。
人を縫うように車が走り出す。益々見つけづらい。目を凝らす。
「いたっ!」
歩道の真ん中付近にしゃがみ込むマコの姿!
良かった……でも。
俺は見つけてすぐマコ目掛けて走り出す。
そのマコ目掛けて前方からトラックが向かって来る。ヤバい!