「言わせて貰いますけど、何があってもその時は俺の命に代えてもマコは守りますよ。そんなん当たり前っしょ?」

「…口ではなんとでも言える」

「こんの…頑固者!堅物!」

「お前こそひよっ子モヤシっ子が!」





俺たちが言い争いを始めたのに気付いて(言ってる内容はかなり幼稚)、二人が慌てて止めには入るも俺は一歩も引く気になれない。




「命張ってでも好きな女守りたいって気持ちあんたわかんねぇのかよ!」

「思うだけで実力が伴わなかったらどうする?意味ないじゃねぇか。世の中口先だけじゃ渡って行けねぇんだよ!」




話は平行線のまま埒が明かない。

その一触即発ムードの俺らの間に割って入ったのは姉貴だった。






「はいは~い。今日はもう遅いし私帰るわね。ほら」





指先が示す方、壁に掛かった振り子時計は間もなく11時45分を指すところ。




「話はついてない」

「彬良君は明日1限からでしょ?」
「……う…ん」



「俺はまだ言い足んねぇ」

「アツ君明日学校だよ?」

「……は…い」



お互い最愛の人に諫められたら引き下がらない訳にはいかない。格好悪いとこ見せたくないからな。




「お邪魔しました。彬良君またね☆」
「あぁ、また明日」



隣りでチューしてるのなんか見たくねぇよ。彬良さんなんかしっかりマコの目を手の平でしっかり塞いでるし。



「さっ、篤帰るわよ」
「待ってよ。俺もマコと………」




おやすみのチューをしようと手を伸ばしたらその手を姉貴に掴まれ、ズルズル引きずられる。マコの目はニヤニヤ顔の彬良さんに塞がれたまま。ちくしょう。



「マコ、おやすみぃ~…………」


結局マコに触れられずに玄関を出る。


星空を見上げながら考える。全く今日は散々だった。散々だったけど……かなりマコに近付けた、マコも近付いて来てくれた、そんな密度の濃い一日だった―――――