「お~い篤、大丈夫?」




遅れて走ってきた友達二人。女の子達は…いない。
さっききついこと言ったから帰ったか…。




「おぅ、少し濡れただけ」


「じゃ、私このコ病院連れて行くから」
「えっ、あ……っと」




その娘は俺ににこっと笑顔をくれて猫を抱えたまま傘を拾って行ってしまった。








その後ろ姿を見送る。




こんなとこで君に会えるなんて。




想像より可愛らしい声だった。




その体も驚くほど軽くて。



やっぱりギュッと抱き締めたくなったよ。







そしてなにより……




自分が汚れるのなんか気にしない。命を大事にする姿勢。






素朴で素直で優しくて……






俺の胸の中の好きが溢れそうだよ。






「アツ?」




いつの間にか友達が傘さしかけてくれてた。


雨に濡れるのも忘れて(既にずぶ濡れだけど)あの娘が見えなくなるまでずっと見つめていた。





「ん?……あぁ、帰っか~。俺パンツまでぐっしょり」

「だろうなぁ。色男が台無しだぞ~」
「それより篤、お前まさか新しい恋見つけちゃった?」
「ん?なんで」
「お前が女の子の後ろ姿追ってるの初めて見たから。だてに中学から一緒じゃねぇよ?」




ガバッと肩を組んで来る二人。




「お前らも汚れっぞ」「平気平気~♪俺等女子と違うもん」



「そういえばあいつら帰ったの?」
「ん~お前がまじ怒りするもんだから嫌われたって泣きながら帰った」
「あっそ……」



今は他の女の子なんかどうでもいい。


早くあの娘にまた会いたい。




「でもさっきの女の子、S女ってことしかわかんねぇよなぁ」



「名前………もう知ってんだ」