玄関を入った時だった。
鼓膜が破れるんじゃないかってすげぇ悲鳴が家中に響いて。慌てて二階にかけ上がる。すると、ある部屋の戸が開いていて今まさにマコが倒れる瞬間。
「マコっ!」
マコの体がゆっくり後ろに倒れてくるのがスローモーションのよう。俺は野球選手さながら、足からスライディングして間一髪のとこでマコの頭を受け止めた。
「っぶね~……」
お~我ながらナイスキャッチ。
ほーっとしながら何気なく部屋の中を見ると………全裸の彬良さんが片方の足をベッドから下ろし、片手を差し出した状態で固まってる(笑)。チ〇〇丸見えだっつーの。
やっぱりな~。電話口で聞こえた女のエロい声。絶対『真っ最中』だと思った。だから止めたのに………もろに見ちまったんだなきっと。
マコには相当刺激が強かったらしい。
一方女の方は布団で身体を隠しながら事の成り行きを見守ってる。…………ってちょっと待て?
何でお前がここにいるんだ?
女と目が合う。気怠そうに髪をかき上げながら手をヒラヒラ。
「はぁい♪篤くん」
「はぁい♪……じゃねぇ!なんでお前ここにいんだよ!」
「ん~………彼だから?」
悪びれもせずキャッキャ笑ってる。
この野郎………。
「やっぱりあの時点で今日は止めた方がよかったんだ……」
でっかい身体をちぃさく丸めて彬良さんしょげてるよ。
あ~ぁ、すっかり萎えちゃって。いつものあの威厳はどこへやらだな……
「ううん、そんなことないよ?今日の彬良くん激しくてすっごいよかった♪篤さえもっと気を利かせてたらこんなことにはならなかったの。皆こいつのせいよ」
「はぁ?自分の私利私欲の為に弟売ったのは誰だよ」
ベッドに座り込んでしょぼくれてる彬良さんの背中に裸で抱き付いて宥めてるのは……そう。姉貴だったんだ。