これには動揺したけど、取りあえず気に入ってくれたみたいで……。席を勧められてしばらく談笑した。(私はほとんど笑えなかったけど)







見た目は怖そうだけど(失礼だった!?)、しゃべるととてもおちゃめで楽しいお父さん。お母さんは『チャーミングで可愛いのよ♪』と言っていたっけ。


お母さんは見た感じ控え目な印象だったけど。実はうまく家族を操作して影で実権を握ってるのはお母さんじゃないかなと思う。






「まったくお前の女関係のだらしなさには呆れてたが…真琴ちゃんはいいぞ♪ナチュラルな雰囲気に礼儀作法はしっかり身についてる。篤にしては上出来だ」
「そうねぇ。だらしなかったものねぇ。だらしない娘ばかり選んでねぇ……」


「おふくろもういいだろっ!今はマコ一筋だっつーの」







恥ずかし気もないアツ君の言葉に引きつった笑いを浮かべるしかない。





「それに料理もめっちゃ旨いんだぜ」

「あ、アツ君!?たいしたことないのにっ」

「ほぅ♪母さんの手料理も絶品だが、真琴ちゃんも上手か~♪そうかそうか」


「あら~♪じゃご馳走して貰わないとねぇ。前の娘達はご飯も炊けなかったものねぇ」



「あはは…」






何だか話が変な方に向かってるんですけど……?
やっぱりどうしていいかわからなくてアツ君を見上げるとポンと頭を撫でられる。





「そろそろ行くか」





よっと立ち上がると私の手を引っ張って立たせてくれる。






「じゃ俺送ってくっから」






時計を見ると10時を過ぎていた。






「あ、あのっ。お邪魔しましたっ」


「あら~。またいらっしゃい」
「今度はゆっくり来なさい」
「はいっ。ありがとうございます」





何度も頭を下げて部屋を出る。






「はー……っ」
「ごめんな。こんなことになっちまって」