アツ君を見上げると、何だか慌てたふう。







「ごめんマコ!親帰って来た」

「え……ええっ!?」







アツ君のお父さんとお母さんが!?





挨拶しなきゃ。



じゃなくてっ!私今いつの間に脱がされたのか一糸纏わぬ姿。こんなとこ見られたら……
まずい、まずいです~!!







「くそっ、姉貴のやつデマ流しやがって……」






混乱してパニクってる私を残して、急いで衣類を身に付けるアツ君。私はどうすれば……







「マコ、俺が時間稼いでる間に服着て?身支度出来たら何ごともなかったように…いい?」







階下ではガチャガチャ鍵を開ける音。
アツ君はTシャツを着ながら部屋から出ていってしまった。






「急がなきゃ…」







動きがトロいと言われ続けた私が今まで無いくらいの早着替え。おかしいとこがないか部屋にあった鏡でチェックして髪を整える。






「あ、前髪…印象悪いかな」







目に被った前髪じゃ表情がわからない。アツ君のご両親に悪いイメージ持たれたくないから。


普段下ろしてる前髪をちょっと分けてアツ君にプレゼントして貰ったピンで止める。






「…これでいいかな」





部屋から出て階段を降りる。リビングからは笑い声が聞こえる。




-こっ恐い……-






でも挨拶しない訳にいかない。なけなしの勇気を出して恐る恐るノックしてみた。






-ガチャ-





戸が開いた瞬間、緊張で心臓が止まるかと思った。

顔を覗かせたのはアツ君。ホッとして涙出そう。






「ごめん。うまく誤魔化したから大丈夫。入りな」






私にしか聞こえない小さい声。でもしっかり私の手を握ってくれて部屋の中に招き入れてくれた。