「ここ、実は俺のバイト先」
「ええっ!?」
アツ君の言葉でハッと我に返る。
バイトしてるのは知ってたけど……ここで?なんか意外。こんな可愛らしいお店でウエイター……も、萌えるかも…じゃなかった!
「お兄さんも当カフェのケーキのファンなんですよ♪」
「兄の事ご存じなんですか?」
無類の甘い物好きのお兄ちゃん。ケーキの為ならこ~んなメルヘンチックなお店にも平気で来そう。顔覚えられる位常連なんだろうな。恥ずかしい~!
「はい、お友達ですから♪」
「ええっ!?こんな綺麗な人と?あのお兄ちゃんが?」
嘘だ。想像できない。確かに女の子には優しいけど……お友達って言っても美女と野獣だよ!?
「それより篤、早く召し上がってもらったら?」
「あぁ、マコ食べな」
ちょっと待って。今アツ君呼び捨てにしたよね………いくらバイト仲間だからってそんなに親しいの?
よく見れば美男美女。誰も寄せ付けない神々しさがある(気がする)。
-どういう関係なんだろう-
気になるけど勧められるままにお皿のチョコレートケーキを一口。
「!!……お…美味し~♪」
口の中で溶けてなくなるまでに、メインの甘さの中にもクリームのほろ苦さがあり、くどくなくすっきりと……美味しくてシ・ア・ワ・セ☆
あぁ、癒される…
「うまいってよ。姉貴」
「そうそう♪美味しくて……って…………………えぇ――――!!」
ガタン!思わずイスから転げそうになった。お姉さん!?アツ君の?
何度も何度も見比べる。言われてみれば………似てなくもない。目元とか。
「お姉さん……」
「凜です。よろしく♪」
悪びれもせずニッコリ。
あぁ、素敵な笑顔……