嵐が去ったところでまたゆっくり歩き出す。肩を抱いたまま。








「私………ずっとアツ君の事誤解してた」
「なにを?」
「すごくモテるのは知ってたから……女の子の扱いも慣れてるんだろうなって。手繋ぐのも肩抱くのも腰に手回すのも日常で、普通にその……キスとか」






どうしよう。キスって単語だけでも恥ずかしいのに。








「ケーキ屋さんでね、間接キスしたこと覚えてる?」
「マコと?」
「ううん。あとから来た女の子と」






しばらく『ん~…』て考えてる。






「覚えてないんだ…」
「うあっ……と、え~……ごめん」







アツくん動揺してる。だよね。こんなの気にしてる私がおかしい。でも……






「コーヒーのね…ストロー」
「あ……」





慌てる動きがぴたりと止んだ。







「あの時私…下らないって思うかもしれないけど。嫉妬したんだよ?」
「うん……」


「そんなこと学校とかでは当たり前なのかもしれないのは分かってる。アツ君共学だからね。でも私はそういうの慣れてないから………ヤキモチ妬いたの」





今日の私は少し積極的なのかもしれない。言いたい事が言える。ちゃんと伝えられる。





「だから…ね。私の前では私だけのアツ君でいて欲しいなぁ」






チラッとアツ君の顔を見上げた。困ってる?それともうざったい?



でもそんな心配はいらなかった。だってアツ君凄く嬉しそうな顔してるから。




「うん♪ごめんね。これからはマコだけのものでいるからね」

「あの…っ、学校とかでは普通でいいからっ」





慌てて付け加える。そしてもう一つ。





「それとね。アツ君から初めてが貰えて凄く嬉しかったの」
「ん?なんの?」
「昨日アツ君の寝顔見ながら思ったの。こんな色っぽい寝顔見たらみんな好きになっちゃうだろうなって」
「なんだそれ」